プロジェックトについて(日本語)

社会科学や人文学の研究成果において、自然災害や人為災害等の災害経験(トラウマ)が記憶の中から空間や場所,物を呼び起こすと示されている(Connerton 2011, Gray and Oliver 2004, Eyre 1999など).例えば,記念追悼式,記念碑,記念公園,記念資料館は,有形,無形の違いはあるものの災害とその犠牲者を思い出すためのものである.ここで示す有形とは、建物やオブジェ(石碑等)、瓦礫、場所などを示し,無形は,式典や祭典、伝承などを示す.

人為災害の有名なものとしては,広島の原爆ドーム、ドイツのアウシュビッツ=ビルケナウ、ニューヨークの9.11同時多発テロのモニュメントなどがある.自然災害については,中国の四川地震(2008)やアメリカのハリケーンカタリーナ(2005),インドネシアのインド津波(2004)、東日本大大震災(2011)などにも記念碑等がある.上記以外にもメモリアルマニア(Doss 2010)で言及した例もある.これらの傾向が示唆しているものとは、社会が生存者のトラウマや失ったものを気遣い、災害から学んだ教訓を次世代へと伝達される場所として提供しているということである。既往研究において,災害の記念化行為がコミュニティの社会的再生への基礎を形作る潜在的な可能性を持つと言われている(Eyre 1999, Nicholls 2006)。最後に、災害の記念化行為が再生したコミュニティの回復力と維持力を増加させると批判的に主張した(Eyre 2006)に賛同する方もいるかもしれない。

人間の死に関する社会人類学の専門知識を活かし、2011年8月から東日本大震災における記念化行為に関する研究を開始し,さらに記念化行為を探求するために,2013年2月からスマトラ島沖地震(2004)のバンダアチェ地域で現地調査を実施している。研究者は,これまで両地域に対して,記念モニュメント(記念碑, 追悼碑, 慰霊碑, 鎮魂碑)に焦点を当てた記念化行為(記憶と追悼)の質的なデータを膨大に集めてきた。そして、両地域のメモリアルサイトやデジタルマップの作成,数多くの被災者と災害専門家へのヒアリングの実施、その他の記念化行為に関する資料収集を行った。これらの研究を進めて行く上で、既往研究で行われているように記念モニュメントを個別に研究するのではなく、他の有形、無形の記念化行為との関係性の基に研究すべきであると気づいた。さらに、記念モニュメントの建設は、長く複雑な政治的なプロセスであると示した。研究者は,会葬者、僧侶、研究者から構成される調査グループを結成し、記念モニュメントの建設に関して市役所と被災者の間の仲介を行った。そして,記念モニュメントの調査を実行し、2つのデジタルマップとデータベースを構築した。これらは,現在,研究者及び一般に向けて公開している(図2)。最後に、災害の記念化行為に関して政治的関与が増加していると考えている。この根拠として、記念モニュメントが災害コミュニティの社会復帰における役割が挙げられている。本研究課題は,記念モニュメントは記憶保存と社会復帰のための広域で躍動的な基盤の一部であると考えている。

災害復旧における記念化行為の役割

様々な記念化行為を地図化したの上で、初めて社会復帰の過程における記念化行為の担う役割の理解に狙いを明らかにする。特に、災害されたコミュニティーの社会的な回復にとしては記念モニュメントと災害とその被害者に捧げられたその他の関連場所の重要性を明らかにする。さらに、本研究では追悼からアーカイブの活動、災害を思い出すことに至る活動は、社会的、物質的に、災害の被害を被った社会の再構築に必要不可欠であるということを検証する。
これらの仮説を検証する為に、以下の理論的な質問を投げかける。
1.記念モニュメントは,特定のニーズにどう応えていくのか、そして賛辞はどうであるか
2.記念モニュメントとその他の形態の記念化行為との関係性があるのか.
3.関係性が存在する場合,どのようにそれらの記念化行為は実際の社会復帰に貢献するか
4.これらの記念モニュメントの機能は,時間を経てどのように発達していくか

災害復旧への主流の記念化行為:応用知識

災害科学と災害の社会理論に貢献することに加えて、この研究の独自性はその試みにある。その試みとは、政策立案者(国際連合,政府,地方自治体、NGO)と、現在と未来の災害における再生過程に関与しているコミュニティ向けに得られた忠告や教訓を引き出すことである。具体的に我々は以下の質問を投げかける。
1.全ての災害コミュニティに共通する記念化行為の形態はなんであるか
2.再生過程において、それぞれの記念化行為の持つ機能はどんなものであるか
3.もし、あるとすれば、それぞれの災害背景における記念化行為の実例の有効性はどのように評価することができるであろうか
4.再生プランの一部として、主流の記念化行為のアドバンテージは何になるであろうか

本研究課題の特色としては、結論をいうと、この研究の特殊性と独自性は、東北大学災害国際研究所という研究環境にある。まずは、研究者は,日常から全ての専門分野の研究者とコラボレーションすることが出来る環境である。災害は,本質的に分野横断的であり、様々な分野の研究者と議論することは必要不可欠である。次に、研究者は,東北大学災害国際研究所の災害アーカイブ分野に所属し、デジタル、アナログデータを引用、寄付することができるだろう。最後に、災害国際研究所は,災害リスク軽減において国際的なレベルで重要な役割を担っている。2015年3月14日から18日の間に開かれる、災害リスク軽減に関する国連防災世界会議のサイドイベントでオーガナイザーを務め、この研究の調査者はこの研究の進展具合と結果を、主要な研究者、政策立案者、そして災害専門家とともに議論する機会を得るだろう。

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